温度測定器の種類
ガラス温度計
温度を測るのに、もっとも普及しているタイプです。温度による液体の膨張原理を利用しています。ガラス温度計と言われるものは、ガラスの細管の中に感温液を入れ、液柱の位置から温度を測るようにしたものです。
通常使われるガラス温度計は、使用する液体により大きく水銀温度計と有機液体温度計(アルコール温度計、赤液温度計とも言います)に分けられます。ガラスの材質、液体の種類を選ぶことで0.01K程度の精度(温度差についてはさらに1ケタ以上高い精度)で温度を測ることができます。
熱電対
異なる材料の2本の金属線を接続すると温度特性の違いにより、電圧が発生するという原理を利用しています。この熱による起電力から熱電対と呼ばれます。高精度の測定(<0.1K)は難しいですが、幅広い温度領域について、簡便・迅速に温度の測定ができます。
種類がさまざまありますが、通常われるのは JIS にも規定された(JIS C1602)、K熱電対(クロメル-アルメル CA)、J熱電対(鉄-コンスタンタン)、E熱電対(クロメル-コンスタンタン)です。K、J熱電対には冷接点補償機能の付いた専用ICも市販されていて便利です。
白金測温抵抗体
白金測温抵抗体は、金属の電気抵抗が温度変化に対して変化する性質を利用した『測温抵抗体』の一種で、温度特性が良好で経時変化が少ない白金(Pt)を測温素子に用いています。白金測温抵抗体は熱電対に比べて温度誤差が非常に小さく、互換性にも優れているため高精度の温度測定や温度制御に用いるのに最適です。これからは、より小さい場所あるいは狭い場所を正確に測定することができるようになります。 化学的に安定で高温にも耐え、高精度の温度測定に使用されます。
国際温度目盛ITS-90でも、-260℃ぐらいから700℃ぐらいまで、ほぼ1000Kにわたる範囲は、白金抵抗温度計で測定することになっています。抵抗値としては0℃で100Ωのものがよく用いられていて、通常シースに入った形で使用されています。白金素線を用いたもの以外に、白金薄膜を用い小型チップにしたものも市販され、抵抗値が高いものにも利用できるようになってきました。
バイメタル温度計
バイメタル式温度計は、ヘリカル状に巻かれたバイメタル(温度による膨張係数が2種の金属板を重ねたもの)を利用した簡単な構造で、温度の変位を指針に拡大指示させ、耐久性に優れた温度計です。
熱膨張率の小さい金属(インバー合金など)と、真鍮など熱膨張率の大きい金属を貼り合わせて、熱膨張率の違いを機構的な動きに置き換え温度を測定することができるようにしたものです。
放射温度計
一般的な温度測定が、物体の持つ熱が他の物体に伝わる性質(熱伝導)を利用しているのに対して、非接触方式の代表である放射温度計は、赤外線の量によって温度を測定します。
自然科学、各種産業における研究、開発、生産管理では、温度は重要な情報として活用することが積極的に行なわれており、なかでも放射温度計は、温度測定の領域を飛躍的に広げることのできる温度計として注目され、すでに幅広い分野で使われています。
サーミスタ
通常サーミスタとして使用されるものは金属酸化物の焼結体で、温度に対する感度が高く、1/10000K程度の高い感度での温度測定が可能です。ただし安定性には難のある場合が多いようです。そして熱伝導率があまり大きくないので、発熱にも注意が必要です。また電子回路の温度補償用ディスク型のものが多数出回っていますが、温度の測定にはビーズ型の方が安心です。
温度感知シール
熱による化学反応を利用しています。一度発色すると元に戻らない不可逆性タイプ(温度履歴タイプ)、設定温度以上で発色し、設定温度以下で元の色に戻る可逆性タイプ、及び不可逆性と可逆性の組合せタイプなどがあります。