安全規格用語の解説

安全電圧/危険電圧回路

超低電圧回路:ELV(Extra-Low Voltage)回路

通常の使用状態で、線間若しくは、電源線とアース間の電圧が尖頭値42.4V、直流60V以下の2次回路であって、基礎絶縁により危険電圧から絶縁しており、且つSELV回路、限流回路の規定に合わない回路。

安全超低電圧回路:SELV(Safety Extra-Low Voltate)

正常状態および1ヶ所が故障した状態で、人が触れることのできるあらゆる2ヶ所の電位差が、危険とならない構造で保護している2次回路。クラスI機器の場合には、使用者が触れることのできる部分と安全アースとの電位差が、危険電圧とならない構造で保護してある構造で、線間電圧またはアースとの電位差が尖頭値42.4V、直流60V以下の回路。

危険電圧:Hazardous Voltage

交流では、尖頭値42.4V、直流では60Vを超える電圧をいう。

機器の種類

クラスI機器

感電に対する保護に、基礎絶縁を使用し、基礎絶縁が破損した場合。危険電圧が加わる恐れのある導電部を、建造物の屋内配線の保護接地線に接続するようになっている機器。

クラスII機器

感電に対する保護を基礎絶縁ではなく、二重絶縁または強化絶縁といった補足の安全対策を講じている機器で、保護接地、設置状態に頼ることをしていない機器。

クラスIII機器

感電に対する保護をSELV回路からの電源に頼っている機器であって、危険電圧が存在しない機器。

絶縁の種類

機能絶縁(Operational Insulation)

機器が正しく動作する上で、必要な絶縁をいう。感電に対する保護は行っていないが、着火および発火の防止に役立つ絶縁である。電源装置の1次側回路で、整流後の回路に適用される。

基礎絶縁(Basic Insulation)

感電に対する基礎的な保護をする絶縁である。絶縁物厚さの要求はないが、動作電圧により異なる沿面/空間などの絶縁距離の要求がある。電源装置では、1次-FG間、ELVを超える保護をするため、基礎絶縁に追加して施した独立の絶縁、絶縁物厚さ0.4mm以上必要。

二重絶縁(Double Insulation)

基礎絶縁と付加絶縁の両方から成る絶縁。

強化絶縁(Reinforced Insulation)

機械的、電気的に二重絶縁と同等に感電に対する保護を行うことができる単一の絶縁。電源装置では、1次-2次間に適用される。トランス、フォトカプラなどにも適用される。

絶縁距離

空間距離:Clearance distances

空間を通して測定した2つの導電部間、または、導電部と機器の導電性外面との最短距離。

沿面距離:Creepage distances

絶縁物表面に沿って測定した2つの導電部間、または、導電部と機器の外面との間の最短距離。

その他

CTI:Comparative Tracking Index(比較炭素化導電指数)

絶縁物表面に生じる導電部の進行形成の出来にくさをあらわす数値。
数字が大きいほど導電路ができにくい。

燃焼性:Flammability

金属または磁器以外の材料の耐発火性、耐燃性の識別。燃えにくい順に、5V、V-0、V-1、V-2。

エンクロージャ

感電の危険、エネルギーによる危険が存在する部品、および充電部を包み込むことによって誤って触れることを防止する部分や、火災の危険を局所化する部分。部品の一部であったり、完全な機器のキャビネットである場合もある。

保護接地:Protective Earthing

1つの絶縁不良が生じた場合に、危険電圧が加わる恐れのあるシャーシなど、人が触れる金属を地面へ接地することで、感電の危険から保護すること。

安全インターロック:Safety Interlocks

危険な状態を取り除かないうちは人が危険な部分に触れることができないように防止する手段または、人が触れる場合には自動的に危険な状態を取り除く手段。

配電:Power Distribution
  • TN-S:システム全体にわたって中性線と保護接地線を分離したもの
  • TN-C-S:システムの一部で中性線と保護接地線とを1本の電線で結合したもの
  • TN-C:システム全体に渡って中性線と保護接地線とを1本の電線で結合したもの
  • TT:1点を直接接地しており、屋内配線の露出導電部を電源システムの接地電極から電気的に分離した別の接地電極に配線した配電システム
  • IT:直接接地をせず、屋内配線の露出導電部を接地した配電システム