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使う前に、選ぶ前に、これだけは知っておきたい部品のジョーシキテック君の豆知識

今さら聞けない あんな質問、こんな疑問を、RSが代わりに伺ってきました。

今回は【スイッチ〔後編〕】です。

<取材協力:日本開閉器工業株式会社様>



スイッチでトラブらないために

■ 回路側の工夫

 - リレーやソレノイドをオンオフしたいときは、どうすればいいんですか。
図1 : 消弧回路の例

負荷の過渡現象によるスイッチの負担を軽減するためには回路側での工夫が必要になります。
ランプやモータなどの投入時の突入電流を避けるのは案外難しいのですが、投入時のスイッチトラブルを避けるためには、直列に電流制限抵抗を入れる、電流制限回路を設けるなどの方法があります。

いっぽう、リレーやソレノイドなどのインダクタ部品ではオフ(遮断)時発生する逆起電力を吸収する回路を設けます。消弧ですとかサージ吸収ですとかクランプですとか色々な回路名で呼ばれています。具体的には抵抗とコンデンサまたはダイオードやバリスタ(通常は大きな抵抗値を持つが過剰な電圧がかかると抵抗値が下がる回路保護用部品)などの半導体をインダクタ部品の両端子間、もしくはスイッチの接点間に入れます。

 - 電子回路に使うなら過渡現象は気にしなくても良いのですか。
図2 : バウンスによる誤動作の防止回路例

スイッチで電子回路の信号を切り換えたりする際には「バウンス」に対する配慮が必要です。

スイッチの接点が閉じる際には僅かですが機械的なバウンスを生じます。

これによって電気信号はごく短い時間の間にオンオフを繰り返すことになります。

ランプの点灯など一般の電気回路ではバウンスは無視できますが、応答の速いデジタル回路などでは、スイッチのバウンスによってスイッチのオンオフを繰り返したことになり、誤動作を起こすことがあります。例えば、スイッチを一回押しただけなのに何度も押したかのような動作をしてしまうわけです。 したがって、デジタル回路に対しては図2のような誤動作防止回路を併用するのが一般的です。部品点数が増えるのを嫌ってか最近ではソフトウエアで処理する例も多くなりました。

見かけは同じでも

■ アクションの違いと名称

 - 押しボタン式のスイッチを入手したのですが、ボタンの押し方とオンオフの状態が思っていたのと違います。

図3 : 様々なプッシュスイッチとディスプレイ内臓スイッチ(右下)
(写真は日本開閉器工業)

プッシュスイッチは場所をとらないので利用範囲の広いのが特長です。ただ、ボタンのアクションとスイッチとしての電気回路のアクションの関係に何通りかあるため、選択を誤ることがあるようです。両者の関係を示す用語を誤解したまま憶えているお客様もおられるので注意したいところです。外見上は同じでも動作が異なりますので、この際、それを整理しておきましょう。

押しボタンスイッチだけでなく、トグルスイッチ(レバースイッチ)やロッカスイッチ(波形・シーソースイッチ)にも適用できます。

最も単純なのが「モーメンタリ」動作のスイッチです。モーメンタリはボタンを押しているときだけオン(またはオフ)になるタイプです。指を離せばボタンも回路も元に戻ります。

プリント基板上などに使う小型のモーメンタリスイッチは「タクトスイッチ」などとも呼ばれます。携帯電話のキーなども動作的にはタクトスイッチです。



図4:スイッチの動作とその呼び名

次によく使われるのは「オルタネート」動作のスイッチです。オルタネート動作のスイッチは、一回押すとオン(またはオフ)になり、もう一度押すとオフ(またはオン)になる動作を繰り返します。ただし、ボタンは指を放せば元に戻ります。機器の二つの動作状態切り換える場合などに便利ですが、ボタンの状態からはオンかオフかを知ることができません。

三番目は、「ロックタイプ(ラッチング動作)」のスイッチです。こちらはボタンを押した後に指を離してもボタンは元に戻りません。ロックタイプは小型機器の電源スイッチなどによく使われます。

もうひとつは連動式の押しボタンスイッチがあります。ボタンが並んでいて好きなボタンを押すとそこだけがオンになってボタンは押されたままです。別のボタンを押すと初めに押したボタンが飛び出て切り替わるタイプです。測定器などで機能を選択する目的で使われます。

ちなみに、最近ではボタンの部分が光る照光式のものやボタン部分が小さな液晶ディスプレイになっていて任意の表示ができるタイプなどもあり、多く使われる傾向にあります。動作はスイッチでも、見かけはランプやディスプレイのようで、こちらは、通常のスイッチとはずいぶん違います。

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