
今さら聞けない あんな質問、こんな疑問を、RSが代わりに伺ってきました。
今回は【RoHS指令について】です。
今回は、いよいよ2006年7月1日から施行されるRoHS指令についてご紹介します。
RoHSとはRestriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment の略で、欧州にて取り扱われる電気電子機器に含まれる6種類の特定有害物質の使用を規制する指令のことを指します。この指令によりEU加盟国は、電気電子機器に含まれる有害物質の法律基準を策定し、それらの製品が人体や環境に与える影響を最小限にすることを目的としています。
対象製品は、WEEE指令(電気/電子機器の廃棄処理規制)の10カテゴリーのうち、8:医療用機器、9:監視及び制御機器を除く8カテゴリーです。(8、9カテゴリーも検討に入ったようですが2010年までは現状どおり)
RoHS指令とは?
■ 特定有害物質と最大許容濃度は?
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RoHSでは、6種類の特定有害物質:鉛(Pb)・水銀(Hg)・カドミウム(Cd)・六価クロム(Cr6+)・ポリ臭化ビフェニール(PBB)・ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)を規制の対象としています。 特定有害物質の均質材料における最大許容濃度は下表のとおりです。
規制物質 最大許容濃度 鉛 0.1% 水銀 0.1% 六価クロム 0.1% PBB(ポリ臭化ビフェニル) 0.1% PBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル) 0.1% カドミウム 0.01% ※意図的、非意図的を問わずに最大許容濃度以下であること。 RoHS指令はそもそも有害物質を含んだ製品を市場に入れないようにするため、最終製品をつくる際に、材料に指定された物質を規定以上に含まないことを求めるルールです。
■適用除外項目とは?
部品を製造するにあたり、技術的に実現可能な代替案が存在しない場合に適用除外申請をすることにより検討、審議され決定します。主な適用除外項目を以下に示します。
Pb - 冷陰極管、電子部品および蛍光管のガラスに含まれる鉛
- 合金成分として鋼材に含まれる0.35%までの鉛、アルミ材に含まれる0.4%までの鉛、銅材の4%までの鉛
- 高融点はんだ(鉛含有率が85%を超える錫/鉛はんだ合金)
- サーバー、ストレージおよびストレージアレイシステムのはんだ(2010年まで)
- スイッチ、シグナル、電送用ネットワーク、インフラ装置および通信管理ネットワークのはんだ
- ピエゾエレクトロニクスデバイスなどの電子セラミック部品に含まれる鉛
Hg - ランプ1本当たり5mgを超えない範囲の小型蛍光灯に含まれる水銀
- 特別な目的用の直管蛍光灯に含まれる水銀
- 本付属書に特に定められていないその他のランプに含まれる水銀
Cd - 指令76/769/EECの改正指令91/338/EECに基づき禁止された用途を除くカドミウム表面処理
Cr6+ - 吸収型冷蔵庫中のカーボン・スチール冷却システムの防錆用としての六価クロム
■ハイリスク材料とは?
RoHS適合品を優先的に購入されていても、各企業様でも念のためハイリスク品の受入検査をリスク削減(自主防衛)として検討されております。
特定有害物質の使用用途の中で多く使われるハイリスク材料の例としては以下のとおりです。- ■プラスチック樹脂
- 顔料や安定剤としてCd、Pbを使用。難燃剤としてPBB、PBDEを使用。
- ■塗料、インク
- 顔料や安定剤としてCd、Pbを使用。
- ■快削鋼、快削アルミなど
- 切削性向上のためPbを添加。
- ■黄銅
- 切削性向上のためPbを添加。Znの不純物としてCdを含有。
- ■鉛フリーはんだ
- 数100ppmのPbを含有。
- ■メッキ皮膜
- 無電解メッキに添加剤としてPbを使用。Cr6+メッキも使用。
- ■ウレタン樹脂
- 触媒としてHg使用の可能性有。
- ■皮革
- 皮革なめしにCr6+を使用。
- ■低融点はんだ
- Cdを含有している物有。
■上市の定義【Put on the Market】
指令上は2006年7月1日以降、欧州市場に上市される機器はRoHS指令に適合している必要があります。
ここでいう“上市”とは、欧州域外から製品、部品が輸入される場合は「通関時点」を指し、欧州域内に製造拠点を持つ場合は、「域内の工場から出荷され販売店を含む別拠点に入荷した時点」を指します。法的に所有権が欧州内に移った時点が“上市”とみなされます。